■ インプラントとは

【インプラント治療】
(歯が抜けたからインプラントを入れるものではありません)
インプラント治療を始めて25年余りが過ぎようとしています。インプラント材料の進歩はめざましく、インプラントテクニックも進歩してまいりました。それに伴い、どのような悪条件であっても、インプラント治療が可能になるよう、日々、研鑽を積んでまいりました。そこで、見えてきたものがあります。それは、インプラント治療を希望される患者様の咬合を考えなくてはならないということです。

矯正治療の項でも申しましたが、ほとんどの方に不正咬合があります。それには、原因があるのです。それを無視して歯がないからただインプラントで歯を作るだけでは、必ずそのインプラントを長期間維持することはできません。

「インプラント治療は、咬合のバランスをとる手段として使用すべし。」
まず、咬合の問題を明らかにして、適切な治療計画の下、咬合支持(臼歯部)を確保するための手段として、インプラント治療を活用するのです。特に安易な前歯のインプラント治療は避けるべきです。臼歯部咬合崩壊(臼歯部の擦り減り)によりインプラントのトラブルが発生しやすくなります。


■ 従来の治療法との違い

● 歯が中間で1本抜けた場合

■ ブリッジ

抜けた歯の両隣の天然歯を削って人工の歯(ブリッジ)を被せる方法です。

両隣が健康な天然歯であっても、削ることになります。

■ インプラントで治療すると

インプラントは隣の健康な歯を削ることなく植立し、人工歯を取り付けます。


自分の歯と区別のつかないくらい自然な状態となります。



● 歯が中間で2本抜けた場合

■ ブリッジ

抜けた2本の歯の部分に加わる大きな力を支えるため、数本の健康な歯を削りブリッジにします。

支える健康な歯には、大きな負担になります。

■ インプラントで治療すると

抜けた数だけのインプラントを植立できます。インプラントは顎の骨にしっかり固定されているので強い力で噛むことができます。



● 奥歯が数本抜けた場合

■ 局部床義歯=部分入れ歯

取り外しの入れ歯を作り、バーを左右に渡して固定します。さらに止め金でも固定しますが、口の中のバーや止め金には異物感が伴い、口臭の原因にもなります。

■ インプラントで治療すると

数本のインプラントを植立し、インプラント同士を連結します。
入れ歯を固定するバーや止め金が不要になり、口の中もすっきりします。



● 歯が全部抜けた場合

■ 全部床義歯=総入れ歯

全部に床のついた入れ歯を装着します。
顎の骨が退縮すると入れ歯が不安定になりやすくなります。

■ インプラントで治療すると

数本のインプラントを植立し、連結された維持装置に入れ歯を固定します。
入れ歯が安定し、口の中で動いたり、笑ったときに飛び出したりすることを防止します。



■ インプラント治療の流れ

STEP.1
インプラント治療に必要な診査を行いインプラントの治療が可能かどうか診断いたします。

STEP.2
歯の根に相当するインプラントの部品を手術により顎の骨に埋入します。
手術は局所麻酔を用いて行いますので痛みはありません。

STEP.3
骨とインプラントがしっかり結合されるまでの治癒期間を設けます。(3ヶ月~6ヶ月)
※治癒期間は骨の質などにより個人差があります。

STEP.4
インプラントを含めたお口の中の全体の型をおとりします。その型に従い人工の歯を作製します。その後、アバットメントの上に人工歯を装着して完成です。

STEP.5
インプラント治療の終了後、インプラントを長持ちさせる為には、適切なホームケアと定期的な検診が不可欠です。担当医の指導に従い、正しい歯磨きを心がけてください。

インプラント治療症例

この患者様は「上の前歯がぐらつくのでインプラントは可能ですか」ということで来院されましたが、歯並びに問題があるので、矯正治療を行った後、インプラント治療を行いました。



■ よくあるご質問

インプラントは何年くらい持ちますか?

インプラントは日常のメンテナンスが非常に大切です。
お口の衛生状態がよければ10年以上、中には30年以上問題なく機能している患者さんもたくさんおられます。



インプラント治療を受ける場合、年齢の制限はありますか?

一般的に骨の発育が完成する20歳前後から可能です。ただし、上限は特にありません。



インプラントの治療費はどれくらいですか?

インプラントの治療費は健康保険が適用されない自由診療です。
基本は1本あたり上の被せものの費用含めて40万円~になりますが、使用するインプラントの本数や設計によって異なりますので、担当医にご相談ください。

また、医療費控除の対象にもなります。



治療中、歯のない期間はどれくらいですか?

手術後、1~2週間は傷口の保護期間を設けますが、その後仮義歯をセットできます。



喫煙者でもインプラント治療は受けられますか?

喫煙が血管収縮、血流阻害、白血球の機能障害の原因になることは知られており、インプラント治療に悪影響を及ぼすことは予想されます。
喫煙者でもインプラント治療は受けられますが、手術前後2週間は禁煙することが望ましいでしょう。